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荒い熊ラスカル [社説]

良くも悪くも、われわれ日本の制作業界は

appleによって繁栄し、振り回されてきている。ホント。

仕事がapple抜きでは成立しない現実は、じつはとっても怖い。

この先、どうなるのか・・・



でもとにかく、
新製品が出現したときの「わくわく」はappleの麻薬だ。

iMacが電話回線で
「ミョンミョンミョン」とネットにつながったカンゲキが忘れられない。

あのころのネットの「遅さ」がなつかしい。


今から思えばとんでも不便な機械だったが、

「MS-DOSわからんのどす」

な悪い意味で文系なワシらが、デジタルの無限な可能性を手に入れたような
「錯覚」に陥らせてくれたのが、Macの世界だった。


スティーブ・ジョブズが亡くなり、

それなりに思うところもあるわけだが、

しかし、アップルストアに献花するほど無邪気ではない。


つーのも、
むかし長年甘い甘い汁を吸っていた平和な印刷会社や版下屋は

Macのおかげで倒産した。


むかしながらの印刷業界にとって

Macの出現に伴ういわゆるDTPソフトによる
アメリカ発祥の印刷物編集革命は、まさに黒船来航。

写植や版下の職人のオッちゃんが威張っていた業界はあっという間に

「Macオペレーターの兄ちゃん姉ちゃん」

に取って代わられて、工程が激減。


数人がかりのアナログ作業が、ひとりでパソコン上でできてしまうことに。
(それだけにオペレータの悲劇も・・)


耳知識だけついたクライアントの要求による
無慈悲なコストダウンが進み、
(こんなもん、ひとりでできるんでしょ?!)

制作物がデータになったことで安いアジアン印刷が主流となり、

ほとんどのドメスティックな印刷業界は
きわめて悲惨な結末を迎えたわけである。
(appleがなくてもいずれこうなったかもしれないが)

多くの会社が対応できないくらいのスピードで業界が変化した。


ああ、消えた職人のオッちゃんたち。
(自分は原稿を作る側なので、皮肉にも細々と生き延びたわけだが)


それまでは、本当に景気がよくて

海外へ社員旅行に行ったのを境に会社が
みるみる凋落していったなんていう某社を現実に知っている。


Mac(に代表されるパソコンの普及)が出現するまでは
印刷物のコストは莫大であり、

印刷工程は一般人にはブラックボックスだったために
それに文句を言うクライアントもいなかった。


Macが印刷物制作を
職人じゃなくたって誰にでもできるものにしてしまったために
(本当はそんな生易しくないが)

つぶれてしまった会社がゴマン!

appleに罪があるわけではない。ただ事実としての哀れな話。


むかし、
印刷会社の「創業社長」が

「マックとワープロとどうちがうんじゃ!」

と叫んでたのを思い出す・・・



※Mさんのブログネタを一部無断で採用・脚色しています。あしからず。
 だぶん、見つかっても許してくれると。だって、おもしろいんだもの。

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まき子

いつも印刷会社さんと面と向かって仕事してる私には
とっても響く言葉です…

たった数年前、まだポジがあって製版から下版まで見てくれていた
品質管理の60歳のおっちゃんと一緒に仕事していたのが既に懐かしいです。。。

そのおっちゃんは、もう居ません。
それでも、成り立っていく仕組みになっているんですもんね。。

by まき子 (2011-10-13 00:42) 

てつ

こういうデジタルによる構造革命というか、
業界の変化というのはあらゆる業種であるんでしょうね。
簡素化、スピードアップ、低コスト・・・
それはそれで良い面もあるのでしょうが、
その反動で、あの「不便」だったころが懐かしい・・・

by てつ (2011-10-13 09:37) 

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